屋根の葺き替え工事は屋根を新しく交換する工事です。
屋根は屋根材だけではなく、防水シートや野地板といった複数の部材で形成されています。
屋根の葺き替え工事は屋根材だけではなく、屋根内部の防水シート、野地板の補修も含めて施工できるため、屋根の総合的なメンテナンスを実現できます。
しかし、屋根リフォームの中でも費用が高額なため、適切なタイミングで施工することが重要です。
特に、悪徳業者の場合、葺き替えの必要が無い屋根であっても、高額な屋根の葺き替え工事を提案することがあります。
そのため、屋根の葺き替え工事を検討する際は信頼できる屋根工事の専門業者にしっかりと屋根の状態を点検してもらい、葺き替え工事の必要性や妥当性を見極めてもらうことが重要です。
そこで、この記事ではこれから屋根の葺き替え工事を検討されている施主様に、屋根の葺き替え工事で失敗しない基礎知識についてまとめました。
屋根の葺き替え工事のメリットやデメリット、費用相場や業者の選び方など、初心者の方にも分かりやすく解説しています。
これから、屋根の葺き替え工事を始める方にとって役に立つ内容なので、是非、最後までお読み頂き、参考にして頂ければと思います。
屋根の葺き替え工事の基礎知識
屋根のリフォームは葺き替え工事の他に、屋根塗装やカバー工法など種類があります。
劣化症状や築年に応じて最適なメンテナンス方法が異なります。
そのため、屋根の葺き替え工事の特徴や、他のリフォーム工法の違いについて理解しましょう。まずは、屋根葺き替え工事のメリットとデメリットについて解説します。
屋根葺き替え工事のメリット
【1】建物の寿命が伸びる
屋根の葺き替え工事を行うことで屋根の寿命が伸びます。
屋根の葺き替え工事はすべての屋根材を交換するリフォーム工事ですが、屋根の防水性を確立している防水シートも含めて交換されます。
また、腐食している躯体(柱)も含めて補修されるため、総合的なメンテナンスを実現できます。
雨漏りのリスクも極めて低減されるため、屋根だけではなく、建物全体の寿命が伸びます。
【2】建物の美観が美しくなる
建物の外観は外壁と屋根で構成されています。
その中で、屋根は外観の40%ほど面積を占めていいます。
屋根の葺き替え工事を行うことで、屋根が新しくなり建物の美観が一新されます。
屋根葺き替え工事のデメリット
【1】費用が高い
屋根の葺き替え工事の最大のデメリットは費用が高いことです。
屋根材だけではなく、 防水シートも含めて交換するため屋根のリフォームの中では最も高額なリフォームです。
また、屋根の葺き替え工事は業者によって価格が生じやすいリフォーム工事になります。
このページでもお伝えしますが、屋根の葺き替え工事の費用相場を理解しておくことが重要です。
屋根葺き替え工事の2つのポイント
それでは、ここからは初めて屋根の葺き替え工事を検討されている方が、理解しておくべき屋根の葺き替え工事のポイントについて解説します。
屋根の状態を適切に診断してもらう
屋根リフォームは葺き替えの他に、屋根塗装やカバー工法などのリフォーム工法があります。
屋根材の種類や劣化症状によって最適なメンテナンス方法が異なります。
そのため、まず始めに、葺き替え工事の必要性について理解することが重要です。
施主様の中には訪問販売業者に屋根の劣化を指摘され、屋根の葺き替え工事を提案されたことがキッカケで屋根の葺き替え工事を検討されているケースも多いです。
実際に弊社が現地調査をすると「葺き替え工事を行う必要は無かった」「部分修理で修理ができた」というケースも多いため、まずは信頼できる業者に屋根の状態を適切に診断してもらい、屋根葺き替え工事の必要性について理解をしておくことが重要です。
ちなみに、屋根の葺き替え工事は下記のようなケースに有効です
- 屋根材の耐用年数を経過していてコケ・カビが発生している
- 雨漏りが発生している
- 建物の耐震性に不安を感じている
葺き替える屋根材の特徴を理解する
次に葺き替える屋根材の特徴について理解をしましょう。
屋根材にはスレートや日本瓦、ガルバリウム鋼板やアスファルトシングルなどの種類があります。
その中で、現在の新築住宅はスレートが主流です。また、築40年~50年くらいの屋根のリフォーム時期となる住宅では、日本瓦屋根のも多いです。
また実際の事例の中で、スレート屋根はカバー工法でガルバリルム鋼板に張り替えるのが主流で、屋根の葺き替え工事は日本瓦やセメント瓦などの瓦屋根での施工が多いです。
このような傾向から、まずは、自宅の屋根材の種類を理解して、実際に葺き替える屋根材の特徴や効果について理解することが重要です。実際に葺き替え事例が多い、葺き替え事例をご紹介します。
日本瓦→ガルバリウム鋼板
日本瓦を金属屋根のガルバリウム鋼板に葺き替えるケースです。
葺き替え工事の事例の中で、最もい多いパターンです。
日本瓦は耐用年数が80年以上ある耐久性に優れた屋根材です。
そのため、経年劣化を理由に屋根材を葺き替える必要はありませんが、屋根内部の防水シートや棟の漆喰が劣化するため、40年~50年くらいを目安に葺き直しでメンテナンスをするのが日本瓦の標準的なメンテナンス方法になります。
しかし、日本瓦は非常に重く地震に弱いのが弱点です。
そのため、葺き直しのメンテナンスのタイミングで金属屋根で軽い屋根材のガルバリウム鋼板に葺き替えるのが現在の主流になっています。
日本瓦からガルバリルム鋼板に葺き替えることで屋根が60%ほど軽くなり、建物の重心がさがるので建物全体の耐震性能が向上します。
このように日本瓦からガルバリウム鋼板に葺き替えることで、屋根のメンテナンスのだけでなく、建物の耐震性も向上させる付加価値の高い葺き替え工事を実現できます。
トタン→ガルバリウム鋼板
もう一つ、屋根の葺き替え工事の事例として多いのがトタン屋根からガルバリウム鋼板屋根に葺き替えるケースです。
トタンは築40年前後の住宅の下屋根や勾配が緩やかな屋根で使用されていことが多いです。
トタンの耐用年数は25年~30年と言われており、現在普及しているトタンのほとんどが耐用年数を経過しており、屋根の葺き替えが必要な状態です。
トタン屋根は、別名、瓦棒屋根と呼ばれており、屋根材の繋ぎ目が無く排水性能に優れているのが特徴です。
このような理由から緩勾配で使用されているのですが、ガルバリウム鋼板に葺き替えの際も、排水性に優れた立平葺きで施工されるのが一般的です。
屋根の勾配を理由にトタン屋根が施工されている場合、ガルバリウム鋼板の立平葺き一択になることを理解しておきましょう。
屋根葺き替えとカバー工法の違いを理解する
屋根面が平坦なスレート屋根に特化した屋根のリフォーム工法で、瓦屋根やトタン屋根では施工できません。
古い屋根に新しい屋根を被せることからカバー工法、重ね葺きと呼ばれています。
カバー工法では新しい屋根材にガルバリウム鋼板が使用されるます。
このようにカバー工法はスレート屋根に限定されたリフォーム工法であり、古い屋根の上に新しい屋根を被せるリフォーム工法ということを理解しておきましょう。
屋根葺き替え工事の費用相場
ここからは屋根の葺き替え工事の費用相場について見ていきましょう。
屋根の葺き替え工事の事例が多い、瓦屋根とトタンの葺き替え工事の費用相場に絞って解説していきます。
具体的な屋根材の種類については、「屋根材の種類と必要なメンテナンスを徹底解説!」で詳しく解説しています。
瓦屋根
葺き替え内容 | 費用相場 |
日本瓦→日本瓦 | 150万円〜200万円 |
日本瓦→ガルバリルム鋼板 | 120万円〜180万円 |
日本瓦→アスファルトシングル | 100万円〜150万円 |
日本瓦→スレート | 100万円〜150万円 |
瓦屋根の葺き替え工事はガルバリウム鋼板に葺き替えるケースがもっとも一般的です。
日本瓦からガルバリウム鋼板に屋根材を葺き替える際の中心価格対は120万円~180万円が中心価格帯です。
一方で、日本瓦から日本瓦に葺き替えるケースで多いのは、既存の日本瓦を防災瓦に張り替えるケースです。
日本瓦は瓦同士をはめ合わせて固定されており、地震や台風などの際に瓦がズレることがあります。
一方で、防災瓦は従来の日本瓦と比べて軽量で、釘で固定されるため、地震や台風の際でも瓦がズレるのを防止できます。
このように従来の日本瓦から防災瓦に葺き替える際の、中心価格帯は150万円~200万円が中心価格帯です。
トタン屋根
葺き替え内容 | 費用相場 |
トタン→ガルバリウム鋼板 | 80万円〜120万円 |
トタンの葺き替え工事はガルバリルム鋼板に葺き替えるのが一般的です。
その際の、中心価格帯は80万円~120万円が中心価格帯になります。
屋根の葺き替え工事の費用相場は施工面積によって変動しますが、下屋根で施工面積が少ない場合は、さらに金額は下がることが多いです。
屋根葺き替え工事の工程
ここからは具体的に屋根の葺き替え工事の工程について見ていきましょう。
足場の設置
まず始めに、足場を設置します。
「足場は無しで工事はできないの?」と思う方もいらっしゃると思いますが、屋根は高所作業になるため、大変危険です。
職人の安心安全を確保し、高品質な工事を実現するためにも足場は必ず必要になります。
既存の屋根材の撤去
足場の設置が完了したら、既存の屋根材を撤去していきます。
長年体積した土や埃で屋根の内部は非常に汚れています。
既存の屋根材を撤去したタイミングで屋根を清掃して新しい屋根を施工する下地を整えます。
野地板の設置
既存の屋根材を撤去したら、野地板を設置します。野地板は屋根の土台となる下地板です。板厚12mmの構造用合板と呼ばれるベニア合板が使用されます。
防水シートの設置
野地板の設置が完了したら、防水シートを設置します。
防水シートは屋根の二次防水として建物の内部に雨水が侵入するのを食い止める役割があります。
現在では改質アスファルトルーフィングと呼ばれる耐久性に優れた防水シートが使用されます。
屋根材の設置
最後に屋根材を施工したら屋根の葺き替え工事は施工完了です。
屋根の葺き替え工事の業者の選び方
屋根葺き替え工事はガルバリルム鋼板に張り替えるのであれば、「板金工事」。
日本瓦に葺き替えるのであれば、瓦工事というように、扱う屋根材によって専門性が異なります。
また、雨漏りなどで躯体の工事が必要な場合、大工工事など様々な工事が複合しています。
そのため、屋根の葺き替え工事は建築士や工務店(大工)などが在籍しており、建物の構造を理解し、幅広い分野に対応できる業者が最適です。
屋根の葺き替え工事の業者を探す際は建築士の資格の有無や施工実績を確認して屋根工事に関する専門性を確認することが重要です。
最後に
いかがでしたか?屋根の葺き替え工事についてご理解頂けましたか?
屋根リフォーム既存の屋根材の種類や劣化症状によって最適なリフォーム工法は異なります。
そのため、まずは信頼できる屋根業者に現地調査を行い屋根葺き替え工事の必要性や妥当性について理解をすることが重要です。
また、屋根材の種類によって効果や付加価値が異なるため、屋根材の種類を理解して臨むことが重要です。