屋根のカバー工法は、スレート屋根のリフォーム工法として現在ではもっとも普及している工法です。
既存のスレート屋根を撤去せずに、ガルバリウム鋼板屋根を施工する工法で、既存の屋根材を撤去する従来の葺き替え工法と比べて、安価で新しい屋根に張り替えることができるため、費用対効果の高い屋根リフォームを実現できます。
このページではカバー工法を検討している施主様を対象にカバー工法で失敗しないために基礎知識について具体的に解説します。
屋根カバー工法の基礎知識
冒頭でも少しお伝えしましたが、屋根カバー工法は古い屋根材の上に、軽量なガルバリウム鋼板屋根を被せる屋根のリフォーム工法です。
主にスレート屋根、トタン、アスファルトシングルなどの平坦な形状の屋根で施工されます。
従来の葺き替え工法と比べて、古い屋根の撤去工程や廃棄費用が発生しないため、安く新しい屋根材に張り替えらるのが特徴です。
それでは、具体的にどのような工法なのか実際の施工事例を見ながら詳しく見ていきましょう。
屋根カバー工法の手順
【工程1】棟板金の撤去
まずは、屋根の棟板金、雪止め金具のなどを撤去して、屋根を平坦にします。この状態から新しいガルバリウム鋼板屋根を設置します。
【工程2】防水シートの設置
棟板金、雪止め金具の撤去が完了したら、防水シートを設置します。
防止シートとは屋根の二次防水として建物の内部に雨水が侵入するのを食い止める役割があります。
カバー工法では改質アスファルトリーフィングと呼ばれる耐久性に優れた製品が使用されます。
これは屋根の寿命を左右する重要なポイントになるため、見積もり段階で確認しておくと安心です。
【工程3】屋根材の設置
防水シートの設置が完了したら、屋根材を施工します。屋根材はガルバリウム鋼板を使用されるのが一般的ですが、アスファルトシングルでも施工可能です。
屋根カバー工法ができない屋根
屋根カバー工法はスレート屋根のリフォーム工法として幅広く普及していますが、施工できない屋根もあります。カバー工法ができない屋根について見ていきましょう。
瓦屋根
瓦屋根はカバー工法ができません。カバー工法は既存の屋根を土台とするため、フラットな屋根面である必要があります。
また、瓦屋根は非常に重いため、さらに屋根の荷重を付加するするカバー工法はリフォーム工法として適していません。
トタン屋根
トタン屋根自体はカバー工法を行うことが可能です。
しかし、現在普及しているトタン屋根のほとんどが施工から30年以上が経過しており、屋根の土台となる野地板が劣化しているケースがほとんどです。
屋根の躯体(構造)として重要な部材である野地板が劣化した状態で、新しい屋根を被しても耐震性が低下したり、雨漏り原因になるなど構造的な不具合に発展します。そのため、トタン屋根はカバー工法は施工できません。
劣化が進行したスレート屋根
劣化が進行したスレート 屋根もカバー工法ができません。
先程のトタン屋根のケースと同じでく、野地板や防水シートなどの構造的な劣化があるからです。
特に、雨漏りがしている屋根は野地板の腐食も進行しており、新しい屋根の荷重負荷がにより建物の耐震性能が低下します。
このような理由から、劣化が進行したスレート屋根はカバー工法は施工できません。
屋根カバー工法のメリット
ここからは屋根カバー工法のメリットについて具体的に解説します。
屋根カバー工法のメリットは下記の3つです。
- 費用対効果が高い
- 工事期間が短い
- 建物断熱性・遮熱性能が向上する
それぞれ、具体的に解説します。
費用対効果が高い
カバー工法は費用対効果が高いのが特徴です。
既存の屋根材を撤去して新しい屋根に張り替える葺き替え工事と異なり、既存の屋根材を撤去しないため廃棄費用が発生しません。
従来の同じガルバリウム鋼板屋根でも葺き替え工法よりも安く新しい屋根に葺き替えることができます。
また、屋根材のガルバリウム鋼板は耐用年数が50年前後と耐久性に優れた屋根材です。
また、メンテナンスフリーの屋根材でもあるため、将来的なメンテナンスの費用が発生しないのが特徴です。このように屋根のカバー工法は費用対効果が高いの最大のメリットです。
工事期間が短い
屋根カバー工法は工程が少ないため工事期間が短いのが特徴です。
工事を行なっている期間は、足場が設置されたり騒音が発生したり業者の出入りが多くなります。
施工期間中の日常生活のへのストレスやご近所さんにかかる迷惑は工事期間が短くなる分、軽減可能です。
建物の断熱性が向上する
カバー工法は屋根が二重構造になるため、建物断熱性能が向上します。外の暑さ、寒さが室内に伝わりにくくなる効果が期待できます。
屋根カバー工法のデメリット
雨漏りの発見が難しい
屋根のカバー工法は屋根が二重構造になるため雨漏りの発見が難しいのがデメリットです。
雨漏りは屋根内部の防水シートが破れや縮れなどが原因で発生します。
雨漏りを修理するためには新しく施工した屋根だけではなく、土台となっている屋根も修理をする必要があります。
このように雨漏りの発見が難しく、実際の修理も大掛かりになってしまうのがデメリットです。
使用可能な屋根材が限られている
カバー工法はガルバリウム鋼板が使用されるのが一般的です。
ガルバリウム鋼板が耐久性に優れているということでもありますが、非常に軽量だからです。
そもそも、屋根のカバー工法は屋根が重くなります。
屋根が重くなると建物の耐震性能が低下するため、軽い屋根材しか使用できません。
このような理由から使用可能な屋根材が限られるのがデメリットです。
まとめ
いかがでしたか?屋根のカバー工法について理解は深まりましたか?
カバー工法はスレート屋根のリフォーム工法としてもっとも一般的に普及しています。
メリットとデメリットをしっかりと理解して専門業者に工事を依頼することが重要です。